「どうせ自分なんか」が口癖だった患者さんに、逆に大事なことを教えられた話。

家族から学んだこと
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「どうせわたしなんて…」

9年たっても記憶に残っている、40代の女性の患者さん(Aさん)の話をしようと思います。

 

Aさんとの出会いは突然で、かつ衝撃的なものでした。

 

 

1日の診療が終わり片付けをしていた時、突然歯医者の玄関が開き、Aさんが母親に連れられて泣きながら歯医者に駆け込んできたのです。

 

Aさんは歯医者がとにかく苦手。8年近く歯医者に通っていなかった女性でした。しかし、今回は歯にものすごい激痛を訴え来院。その時、Aさんを担当したのが、わたしだったのです。

 

口の中を見ると明らかに歯周病。聞けば以前から疲れた時など、歯ぐきからの出血が気になっていたといいいます。

ときには歯ぐきから膿もでることも。

 

歯周病は「静かに進行する病気」ともいわれ、進行していても、本人も気付きにくく、歯医者に来て始めて自分が歯周病だと知るケースも多いんです。

 

わたしの印象では、程度の違いはあっても、大人のほとんどの方は何らかの口の中のトラブルを抱えています。

 

 

昔より口元に対して意識が高い人が増えていますが、歯医者に全く通わないで本当に口の中を綺麗に保てている人は、まずいません。

 

 

歯周病の治療には、口の中を綺麗にすることが最優先。歯医者では、プラークや歯ぐきの中の歯石を取って口の中の環境を改善していきます。

でも、何より重要なのは、患者さんが家でしっかり歯磨きをしていくこと。

 

いくら歯医者で口の中を綺麗にしても、家でのケアができてないと同じことの繰り返しになってしまいますから…。

 

歯周病は生活習慣や体の免疫力など、原因もいろいろ言われています。でも結局、歯周病って「細菌感染」で起こる病気。

だから歯磨きで歯の汚れを落とすことが、予防の一番の基本なんです。

 

何より、歯科医や歯科衛生士が頑張っても、本人が努力しないとどうにもなりません。口の中のケアは一生続きますから。

 

関連記事→虫歯と歯周病の予防法を極める!おすすめ歯ブラシと歯磨き粉の選び方をプロが解説。

 

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歯周病治の療を始めることより大切だったのは、歯科衛生士を「信頼」してもらうこと

話が少し脱線しましたが、Aさんに今の状態と上に書いたことを説明し「このまま歯周病が進めば、歯を抜く可能性もあります…」と説明したところ、Aさんはうつ向いたまま「どうせわたしは良くならない…」とボソッと呟いたのです。

 

「どうせわたしは…」

 

この言葉に、わたしは「ドキッ」としました。

 

もともとネガティブな性格だったAさん。

歯医者も怖いし、担当している歯科衛生士は自分よりずっと年下では、なかなか話を聞く気にもならなかったのだと思います。

 

「どうすればいいんだろう…」

 

悩んで悩んで出した結論は、まずはAさんにわたしを信頼してもらうことから始めよう。ということ。

そのためにはわたしが先にAさんを「信頼」し、「Aさんなら大丈夫だ!良くなる!」と心から思うことにしたんです。

 

その後はAさんが歯医者に来てくれる度に、雑談をしながら、合間に歯石取りや歯磨き方法を話して、少しずつ「信頼関係」を築いていくことを意識しました。

 

その甲斐あってか、もともと真面目なAさんは家での歯磨きも頑張ってくれ、歯間ブラシなど、こちらがおすすめするものをすべて使ってくれるまでに(^^)

ときには「昨日は20分も歯磨きしたのよ〜」と笑いながら話してくれたこともありました。

 

 

最初に「歯が痛い」と来院されたときの口の中の写真と見比べても、うれしい悲鳴をあげたくなるほどの綺麗さ。

「抜かなくてはいけないかも」と言われていた歯も残せるまで回復しました。

そしてなにより嬉しかったことは、歯や歯ぐきが綺麗になってくるにつれ、「どうせ…」という言葉が消えていったことでした。

 

 

「どうせ自分はダメだ…」という気持ちが変化し始めた理由

Aさんに出会ったのはもう9年も前です。でも、今でもAさんのことを強く覚えている理由は、Aさんの気持ちの変化を間近で見てきたから。

 

最初に会った時のAさんは、上にも書いたように、「いい大人」なのに、泣きながら母親に連れられて歯医者にやってくる女性でした。

 

治療を始めても消極的。

口癖のように出てくる言葉は、「どうせわたしなんて」という超ネガティブな言葉。

でも、治療が進むに連れ、Aさんからは次第に「どうせ…」という言葉は出なくなったんです。

 

 

Aさんと関わる中で、わたしが強烈に感じたのは、

「どうせわたしにはできない…」というのは、「事実」でもなんでもなく、できないと自分が勝手に決めつけて信じ込んでいるだけ、ということ

 

自分を振り返ってもそうですが、ほとんどの場合、誰かに「あなたはできない」と言われたというよりは、自分が勝手に「わたしにはできない」と勘違いしているだけのこと。

 

そう。自分で勝手に「無理だ」「出来ない」と、勘違いしてるんです。

 

しかも「どうせ自分は…」と思い込むと、顔や姿勢もうつむき加減で、言葉の通り覇気のない顔になります。「どうせ」という言葉にふさわしい自分になっていきます。

 

すると、人からもいい扱いをされなくなり、ますます自信をなくす…。

 

しかし、自分を信じてあげたり、自分だけは「元気の出る言葉」をかけ続ければ、言葉通りになっていくし、人からも大切に扱われるようになっていく。

 

でもこれ、わたしも含め大抵の人は意識しないとかなり難しい、こと。

 

Aさんは、自分で口の中を綺麗にしていきました。

歯周病が改善していくAさんには「どうせわたしなんか…」という気持ちはもうなく、「もっと綺麗になりたい」という前向きな思いが大きくなっていました(^^)

 

その思いが嬉しくて、わたしも「もっとAさんをサポートしたい!」という気持ちが大爆発!気づけば、Aさんのお陰で、わたしの方が楽しい時間を過ごさせてもらっていたんです。

 

 

Aさんを見ていて思ったんです。

自分が自分をどう扱っているかで、人からの扱われ方が決まる。

気持ちが前向きの人は、周りの人の接し方や気持ちを変える力があるんだ、って。

 

人は良くも悪くも起こった出来事に反応しながら生きている。起こったことは同じでも、反応を変えることでその後の変化は天と地との差が出る。

わたしが大好きな人の言葉。

 

「出来事に反応しながら生きている」ということは、自分の反応を変えれば周りの人も変わる。ということ。

 

今まで、何か起こると「どうせわたしなんて…」と思っていた反応を「自分なら大丈夫だ」と変えれば、自分自身を丁寧に扱うようになるし、周りの反応も変わってくる。

 

今、Aさんを思い出しながらこの記事を書いていると、Aさんと試行錯誤しながら過ごしていた9年前の気持ちを思い出します。

 

今でも気を抜くと、無意識に出てくる「どうせわたしなんて…」という思い込み。いや、重いゴミ!

 

悪い思い込みを溶かしてくれる大きなきっかけを、わたしはまたAさんに与えてもらえたのです。

 

 

 

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